初心者のための賃貸ガイド

この種のアンケート調査では、設問にある他の選択肢の文章によって回答の分布がかなり違ってくる。
たとえば。 「年功序列」賃金とは「個人の能力や業績」をまったく考慮しないシステムのことであると回答者に解釈されるような選択肢であれば、良識が多数者をそこから離反させるだろう。
また、この点はさておいても、「個々人の能力や業績」の重視への賛否は、職種、性、年齢、雇用形態などによって区分される労働者の階層ごとに大いに異なる。 そのことの背景にある「能力主義管理の影響」における労働者階層間の相違は、多くの類書ではしばしば軽視されているゆえに、つねに留意したい点の一つだ。
けれども、ともあれこれらの意識調査はいちおう、現時点の人事・労務システムの改変が従業員多数の選択をふみにじって進められているわけでないことは物語るものといえよう。 いくつかの問いしかし、現代日本の労働の状況を正確に理解しようとするならば、このあたりからいくつかの設問が立ち上がってくる。

たとえば、ひろく終身雇用・年功序列とよばれる日本の人事・労務システムは、もともとそれほど能力主義に背反するものだったのだろうか?この点の解明において先駆的であったK氏とともに私もまた、そして労働問題研究者の界隈での定説もまた、そうではあるまいと答える。 日本の年功とは、アメリカ労働組合主義の好む労働者間競争の制御の論理である勤続基準、たとえれば「年の功」でなく、「年と功」の意味なのだ。
労働者の多数者であるブルーカラーとノンエリートーホワイトカラーについていえば、人事考課なき「同一労働同一賃金」の欧米よりも、勤続を積むうちに能力と賃金職務能力を開発することを個人別に査定して賃金を個人別に細かく格差づける日本のほうが、はるかに「能力主義的」だったともいえよう。 職場生活への満足度がこの日本で意外に低い理由を「日本企業では能力主義、業績主義が不徹底であるため、貢献に応じた報酬が得られないこと」に求める見解などは、日本の勤労者の多くについては的外れなのである。
もっとも、そう考えるならば次に私たちは、日本企業の能力主義管理は本来どのような特徴を帯びていたのか、さらには、日本企業はなぜいま、その特徴ある能力主義を強化し改変しようとしているのか、という問いに答えることを迫られよう。 この2問を解く鍵は、これまでは併記してきた能力主義と実力主義の区別である。
私の仮説を端的に書けばこうなる、これまで日本的経営は、どちらかといえば従業員の顕在能力(発揮された能力)、つまり実績を重視する実力主義よりも、その潜在能力(身に宿している能力)、つまり狭義の能力を重視する能力主義を処遇の基準としてきた。

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